コンサルティング事例 case2

2つ目の事例では、新工場建設直後の創業社長の死、続くリーマンショックという危機を乗り越えようやく累損の解消が見えてきたものの、危機脱却のためのトップダウン流経営が結果として社員の自律性を妨げていたことに気づき、経営者目線を持った社員の育成を依頼いただいた事例です。
テーマ:幹部育成・自律的な組織運営
業 種:食品製造業
所在地:大阪府
​社員規模:約50

お困りごと:

トップダウンスタイルでやってきたために幹部が育っておらず、社長が直接指示を出したり、社員から課長を飛び越して相談が来るなど組織的な動きができていない。開発はより良いものを作ることに注力し資金面を考えない、部署間で協力する姿勢が乏しく、納期の遅延が発生する等の問題が起きている。

取組み期間:2019年2月~2020年1月

アプローチ:

①サラリーマン社員に経営者目線を持て、ということ自体難しいことではあるが、経営に関する情報を社員と共有することで社長と社員の認識ギャップを縮めることは可能。そのためにはまず経営理念を明らかにするとともに、ビジョン達成にむけたステップを幹部で話し合い、重要課題についての認識合わせをすることが有効。しかしビジョン達成には部署間で連携して課題解決にあたる必要があり、その際の方法論としてチームビルディングも欠かせない。そこで、まずは部署代表者による経営理念づくりから着手。

 

②とはいえ、これまでのトップダウンに慣れた社員からは、「理念は社長が作るものであり、自分たちが考えても社長が気に食わなければ意味がない」、「5年、10年先のビジョンなどという絵空事の前に、目の前に山積する問題の解決が先決」という意見が出て、さらに他部署批判も続出。しかし、「現状の問題を解決するのにも数カ月はかかる。そして解決するにも何を目指すかがはっきりしていなければモグラたたきが続くだけ。ならば、こうありたいという姿を描き、それに近づけるステップを考えるアプローチはどうしても欠かない」と根気よく理解を求めながら理念構築のプロセスをスタート。

 

③理念は社長とプロジェクト(以下PJT)で別々に検討し、最終段階ですり合わせるやり方を採用。当然ながらメンバーからは「社長からの指針をまず示すべき」との声はあったが、「社長は社員が自律的に運営する会社を目指したいと言っている。皆さんがこの先10年この会社に勤めて、10年後に、働いてよかったと思える会社にするには、社長一人の考えだけでは不十分。是非皆さんの思いを織り込みましょう」とお話し納得いただいた。
別々に考えたビジョンは、結果としてかなり似通ったものであることに双方が驚き、すり合わせは一気に進んだ。これには社長も「自分には見えていなかったが、彼らなりによく考えていたんだ」と気づかれた

 

④続いては、ビジョン実現に向けた重要課題への部門横断取り組みPJTを発足。理念検討の意見交換では部署間の利害対立が明らかであったため、チームビルディングを理解していただくための仮想体験ゲームを会合時にセットで実施。PJTでは納期遅延の根本原因となっており社内での連絡のやり取りに膨大な時間がかかっている、受注~生産~出荷に至る一連の業務プロセスの改善をテーマに取り上げた。

 

⑤約半年をかけて、受注関連プロセスの新たなルールや管理手法を決定し、トライアル実施をスタート。PJT終了後はコンサルタントが関与しなくても自発的に週次のミーティングを自主的に開催し、マイナーな不具合の修正をおこなうまでになった。

成功のポイント:

①社長ご自身が、これまでのトップダウンスタイルを反省され、社員の自律的な行動を望まれ、それについての姿勢をぶらさず貫かれたこと。また、目先の解決策ではなく、やや遠回りと思えるビジョン構築に理解を示されたこと。

②社員のなかで、これまで不具合を社長や他部署に伝えても取り扱ってくれない不満を抱いていた方が、半信半疑ながらこのような機会をないがしろにすれば会社は決して良くならないと考え、前向きに参画し続けていただけたこと。

③あえて最も難しい課題をPJTテーマに取り上げたこと。
(長年、営業、営業事務、管理、製造を悩ませていた問題の解決が見えてきたことで協力の機運や新たなルールや仕組みを何としても実のあるものにしようという意気込みが高まった。その波及効果として、お聞きしている範囲では、その後第2、第3の部門横断型テーマも自主的に取り組まれている)

プロジェクト費用概算:

12カ月 480万円