コンサルティング事例 case1

先代が創業し、息子さんが専務として実質的に経営を切り盛りして大きく成長させてきた中堅企業。人員数は60人を超え、いわゆる「ドンブリ人事」では立ちいかなくなってきたため、腰を据えて人事制度を構築したいというご依頼をいただいた事例です。規模や状況によってアプローチは変わりますが、これから取り組もうと考えている企業様にとって、人事制度づくりがどのようなプロセスを経て進んでいくのか、イメージしていただけると思います。
テーマ:人事制度全面構築
業 種:金属加工業
所在地:大阪府
​社員規模:約65人

お困りごと:

明確な評価制度、給与制度がない。事務方が作成した制度案はあるが機能していない。給与・昇給、昇進はこれまでの実績をもとに経営者が肌感覚で決めているが、業容拡大に伴い人数が増加し、正直評価しきれない。これ以上基準が不明確なままでは事業の発展に支障をきたす。明確な基準作りと自社で運用できる体制づくりをめざしたい。

取組み期間:2018年5月~2019年4月

アプローチ:

①従業員規模や管理職がプレイヤー状態であることを鑑み、社員の等級数を一般職2等級、管理職2等級の計4等級とすることを基本に据えることとした。さらに、各等級の定義や資質・要件を、現状の仕事と今後の展開を考慮して決定。また、役職体系と等級との関係も仮決定。

 

②そのうえで、給与制度の基本構造と、各等級ごとの金額ゾーンを大まかに決定。入社時の経緯により基本給や手当額に大きなばらつきがあったため、ルールに則った金額設定でカバーできる範囲を増やし、例外的なケースを除き、新体系への移行がスムーズにいくよう、設計検討を重ねた。

 

③8~9割方、賃金制度を固めて一旦保留。そのあと評価制度検討のプロジェクトをスタート。全管理職に参画いただき、議論と宿題を毎週のように重ねながら約3か月で評価制度のベータ版を完成。当初は、それに引き続いて、各等級ごとの評価項目を検討する計画を組んでいたが、トライアルでまずやってみることに方針変更。2,3週間ごとに部下と面談を行い、「評価」よりも「成長」と「対話」を重視する取り組みを試行した。約4か月間の試行期間を踏まえ、改善点の話し合いや他の等級の評価項目決定などを行い、新年度から、本格導入することとなった。

 

④評価制度の試行期間が始まったところで、経営トップと管理職それぞれにビジョン・ミッションを検討することとし、それをもとに共通のビジョン作りを進めた。1,3,10年後のビジョンを固めたところで、1年後のビジョンを次年度の年度方針とし、それを踏まえた各部門ごとの年度目標と、部門横断的な取り組み目標の両方を検討し、全体の整合を図った。ここで検討した部門年度目標が各課のメンバーの個別目標にブレークダウンされる流れとした。

 

⑤評価制度の大枠が固まったところで、改めて等級定義や役職体系、賃金体系の全体としての整合を図り、4月の給与改定を迎えた。3月末から4月にかけて、全従業員への新制度説明会や、どの等級に位置付けられ、給与はいくらとなるのかの個人別の通知を行い給与支払い日に備えた。

成功のポイント:

①専務(次期社長で事実上のトップ)に積極的に参画いただき、意思決定が早く展開がスムーズに進んだこと。

②脱完璧主義の進め方に賛同いただき、制度の完成度よりも実際の運用への慣れを優先したことで、早期に従業員が新制度に触れる機会ができ、効果(従業員、社内の変化)も早い時期から目に見えてきたこと。

③評価制度作りに管理職9名全員に参画していただいたことで、制度趣旨や運用面での注意点も含め、管理職自身が理解納得の上で制度ができたこと。

プロジェクト概算費用:

12カ月 600万円